「職業に貴賤なし」は、蓋(けだ)し名言であるが、
大方職安の誰かが言ったもので、
襤褸(ぼろ)屋であろうと汲み取り屋であろうと、
世間に必要とされる立派な仕事。
だから四の五の言わずにしっかり働け!
といった意味で使ったのかと、
小生これまでずっとそう思って来た。
しかし然(さ)に非ず。そう仰ったのは、
今から150年も前のアメリカ合衆国大統領リンカーンで、
「職業に貴賤なし。 ただ、卑賤な人間がいるだけである」と。
では「卑賤」とは一体何ぞや?
Today's BGM
手紙(岡林信康)
織江の唄(山崎ハコ)
Karma Chameleon(Culture Club)
卑賤とは、地位・身分が低いこと。
人としての品位が低いこと。また、そのさま。下賤。
つまり社会的評価としては「穢多・非人」、
或いは「土方・馬方・船方」の部類と大して違わないのだが、
飽くまで「人」が卑しいか否かであって、その職業云々では無いということ。
故に、例えば屑鉄屋の孫が突然政治家を目指したとしても、
全く問題は無いのである。
なお、今で言うリサイクル業は生業(なりわい)として、
江戸の昔にちゃんと成立していたそう。
古着:古着買い(回収)、仕立屋(再生)、古着屋(販売)に分業
古傘買い:壊れた傘を下取り、再生する
蝋燭の流れ買い:溶けた蝋を集めて再生する
木っ端売り:建材や廃材の木っ端を薪にしたり付け木屋に売る
付け木屋:木っ端などを薄く削って硫黄を塗り、発火燃焼材に
箒買い:新品と交換するが、古い棕櫚の箒は縄や束子に再生
空き樽買い:使用済みの樽を回収、再利用する
灰買い:竈の灰を買い集め、肥料にする
羅宇(らお)屋:煙管の竹を交換する
提灯の張替え:紙を張替え、屋号等を書き入れる
臼の目立て:減った臼の目を立てる
馬糞拾い:道端の馬糞を広い、肥料にする
ごみ取り:長屋等のごみを燃料・肥料・埋め立て用に分別回収
紙屑買い:不要になった紙を秤に掛けて買い、古紙問屋に売る
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