1/28/2021

職業に貴賤なし、は正にその通り



「職業に貴賤なし」は、蓋(けだ)し名言であるが、
大方職安の誰かが言ったもので、
襤褸(ぼろ)屋であろうと汲み取り屋であろうと、
世間に必要とされる立派な仕事。
だから四の五の言わずにしっかり働け!
といった意味で使ったのかと、
小生これまでずっとそう思って来た。

しかし然(さ)に非ず。そう仰ったのは、
今から150年も前のアメリカ合衆国大統領リンカーンで、
「職業に貴賤なし。 ただ、卑賤な人間がいるだけである」と。
では「卑賤」とは一体何ぞや?
Today's BGM
手紙(岡林信康)
織江の唄(山崎ハコ)
Karma Chameleon(Culture Club)


卑賤とは、地位・身分が低いこと。
人としての品位が低いこと。また、そのさま。下賤。
つまり社会的評価としては「穢多・非人」、
或いは「土方・馬方・船方」の部類と大して違わないのだが、
飽くまで「人」が卑しいか否かであって、その職業云々では無いということ。
故に、例えば屑鉄屋の孫が突然政治家を目指したとしても、
全く問題は無いのである。

なお、今で言うリサイクル業は生業(なりわい)として、
江戸の昔にちゃんと成立していたそう。

古着:古着買い(回収)、仕立屋(再生)、古着屋(販売)に分業
古傘買い:壊れた傘を下取り、再生する
蝋燭の流れ買い:溶けた蝋を集めて再生する
木っ端売り:建材や廃材の木っ端を薪にしたり付け木屋に売る
付け木屋:木っ端などを薄く削って硫黄を塗り、発火燃焼材に
箒買い:新品と交換するが、古い棕櫚の箒は縄や束子に再生
空き樽買い:使用済みの樽を回収、再利用する
灰買い:竈の灰を買い集め、肥料にする
羅宇(らお)屋:煙管の竹を交換する
提灯の張替え:紙を張替え、屋号等を書き入れる
臼の目立て:減った臼の目を立てる
馬糞拾い:道端の馬糞を広い、肥料にする
ごみ取り:長屋等のごみを燃料・肥料・埋め立て用に分別回収
紙屑買い:不要になった紙を秤に掛けて買い、古紙問屋に売る

0 件のコメント: